ドクターブログ 「歯〜トフルトーク ♫」
2022.04.29
リラックス治療(歯科恐怖症の方へ)
精神鎮静法とは
歯科治療に痛みが伴う場合、歯科医院では局所麻酔を行いますので、痛みを我慢しながら治療を受けることはあまりありません。しかし、麻酔で痛みが無かったとしても、治療中の精神的なストレスは無くすことは困難です。
ストレスが強度になると、ショックや過換気症候群、異常高血圧など全身的な異常を来すこともあります。
歯科治療中のストレスを緩和する方法として、従来より、精神鎮静法が行われています。笑気吸入鎮静法と静脈内鎮静法があり、いずれの方法でも、患者さんの意識を消失させること無く、処置中のストレスが軽減され、リラックスして治療が受けられます。
また、血圧や脈拍が安定するため、循環器系疾患の憎悪を予防することにもなり、有病者が安全に治療を受けるためにも有用です。また、使用する薬剤によって効果の差はありますが、ある程度の健忘効果(治療中のいやな記憶が少ない)が期待できます。
笑気吸入鎮静法
笑気とは、一酸化二窒素(N20)のことで、昔から医療用ガスとして全身麻酔にも利用されています。笑気吸入鎮静法は、低濃度(30%未満)の笑気を患者さんに鼻マスクを通して吸入してもらい、治療中の精神的ストレスを緩和する方法です。親知らず抜歯や小手術に有効です。
特徴
- 鎮静効果に加え、軽度だが鎮痛効果も期待できる。
- 笑気の吸入を停止すると、すぐに鎮静状態から回復する。
- 同時に高濃度の酸素を吸入できるため、狭心症など虚血性心疾患の憎悪防止としても有用。
- 処置後、車の運転が可能
禁忌症
- 妊娠初期(3ヶ月以内)の患者
- 鼻づまりのある患者
- 中耳疾患の患者
- 気腫性のう胞や気胸など、体内に閉鎖腔のある患者
- 医療ガスを用いて眼科の手術を受けた患者
静脈内鎮静法
静脈内鎮静法とは、静脈剤を静脈内に投与し、治療中のストレスを軽減する方法です。静脈路は降圧剤などの救急薬剤の投薬ルートとしても活用でき、有病者の診療やインプラント手術などに有用です。
特徴
- 笑気吸入鎮静法より鎮静効果が確実。
- 健忘効果が期待できる。
- 静脈路より、降圧剤などの救急薬剤の投与が可能。
注意点
- 処置後は、終日、自動車の運転などはできない。
禁忌症
- 妊娠初期、妊娠後期の患者
- 上気道の閉塞を起こしやすい患者